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第22話 4月25日 春の終わりと、「学校復帰」

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-12-11 20:00:17

おばあちゃんが退院してから五日が経った。

右半身の麻痺は残っているが、毎日少しずつリハビリを続けて、

今朝は自分で箸を持ってご飯を食べられるまでになった。

医師も「予想以上の回復」と驚いている。

俺と颯音は久しぶりに制服に袖を通した。

鏡の前でネクタイを直し合いながら、颯音が小さく呟いた。

颯音「……蓮、行けるかな」

蓮「……行こう。一緒に」

おばあちゃんが玄関で見送ってくれた。

おばあちゃん「無理はしないでね。何かあったらすぐ電話しなさい」

颯音「……うん」

蓮「……行ってきます」

手を繋いで歩く道は、もう新緑が眩しい。

桜は完全に散って、代わりに若葉が風に揺れていた。

学校に着くと、クラスメイトが一斉に振り返った。

クラスメイト「おかえりー! 蓮くん! 颯音くん!」

「大丈夫だった!?」「おばあちゃん元気になったって聞いた!」

みんなが駆け寄ってきて、肩を叩いたり、握手を求めてきたり。

颯音は最初びっくりしていたけど、すぐに笑顔になった。

颯音「……ありがとう……みんな、心配してくれて」

蓮「……ただいま」

担任の先生が教室に入ってきて、二人を見て目を細めた。

先生「よく戻ってきたね。無理は禁物だから、今日は早退してもいいよ」

授業が始まっても、俺たちは普通に受けた。

欠席していた分のプリントを山ほど渡されたけど、

颯音と目が合うたびに、小さく頷き合って、

「これから取り戻す」と心の中で誓った。

昼休み、屋上で二人きりになった。

颯音「……蓮」

蓮「ん?」

颯音「生きてるって……すごいね」

颯音が空を見上げて、深く息を吸った。

颯音「空も、風も、ご飯も、全部……当たり前じゃなかった」

蓮「……うん」
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